お天道さま
時々、夜が怖くなる時がある。でも、昼間はもっと怖い。人の目が気になるようになったのは、思春期という漠然でありながら脆弱な時期と何かが衝突した瞬間からだ。
私は、夜が怖けれど部屋にいるともっと怖い。憎悪や嫌悪だけで出来上がった人間もどきのもう1人の私が、何とか普段取り繕っている私の内側から裂いて出てきそうだから。だから、私は人間もどきをなだめる為に夜な夜な散歩に出かける。すると、昼間は多くの自動車が行き交う国道には白とオレンジの落書きだけ。ママ友の自慢大会の場の公園は夜風の憩いの場。小学校は到底、子供が通っていいような出で立ちではない。
しかし、どの場所も出来上がった瞬間は人は居なかったはずで、夜な夜な私と人間もどきが見る姿が本来の姿なのかもしれない。あの時の失恋も友人との喧嘩も生きる為にはなるべく、理性的に総体的に俯瞰で見る事が大切だ。そんな事を考えていると空が白くなってきた。
私の足元には朝日に照らされたすみれが咲いていた。