生きることは表裏一体

小説の賞を受賞したりなどもしたのでその日、その日で文章を書きます。僕の思った通りじゃなくて読んで下さる方、各々の捉え方で読んでもらいたいです。

未経験でも無限大

時々、心身が僕から離脱する時がある。 昼間の課長からの何気ない言葉が僕の心の一部を抉り取っていく。もちろん、課長はそんな事をするつもりで言った言葉ではない事も僕は理解している。 でも、僕はその言葉を看過する事が出来なかった。 帰りの電車の中で…

右折だらけ

倦怠感に包まれた明日が、もうこちらを覗いている。誰かが、こんな時に側に居てくれたらどれだけ僕の心は落ち着くのだろう。そんな事を思っているといつも君から着信がくる。僕は、君からの着信を本当は無視しなければならない。でも、そういった時に限って…

秋の声

伝えようとすればするほど、君には知っていて僕には知らない誰かが何処かで、君と一緒にほくそ笑んでいる気がして今日もまた、僕にとって大切なことを伝えられず終わってしまった。 僕は君と会う時はいつも心の中で今日こそ大切なことを絶対に伝えようと思い…

地球を踏もう

近頃は、見たことのない世界を見たいと思うようになった。僕は、元々外に出て遊んだりするのが苦手だ。決して嫌いな訳ではなく、苦手なのだ。出来ることなら僕だってアウトドアになってみたい。でも、運動神経が良くない方なので高架下や階段などで、スケボ…

もうええわ!

ビル風なのか寒風なのか、はっきり分からない程僕の心はまどろんでいた。身体は起きていていも、心の中はずっと眠っている状態だ。 18歳で高校を卒業して、夢を叶えるためにその世界に足を踏み入れた。そこから14年間必死に闘ってきたつもりだ。この、14年間…

一人と独りは違う

重たい曇天から、雫が一滴落ちる様はまるで 今朝の私達の不穏な淀んだ空気の部屋のキッチンの水道から水が、落ちる様と重なる。 特に、2人の間に何があった訳でもなく、ただただ2人で揺れる洗濯機を座って眺める。 換気扇の音をBGMにして、軽食を口にし空腹…

陰に賛美歌を

言葉の荷物を肩にぶら下げて、酷い肩こりが 慢性的になっていることも忘れて人混みの中を颯爽と歩いてるふりをするのには、もうつかれた。夜中の電柱から伸びる僅かな枝が、電柱の根元に咲く、うす紫の小さな花を照らす。 その花は妖艶でありながら微動だに…

太郎と龍太郎は岡本と橋本

僕の尊敬する岡本太郎は言った。「芸術は爆発だ。」この、言葉の深い真意や本当の意味で岡本太郎がどのように思って放ったのかは、分からない。そして、岡本太郎は70年の大阪万博で 太陽の塔という幼少期の僕に、とんでもない 衝撃と気持ち悪さを頭の中に投…

弱人強食

炎天下の中、砂埃に視界を奪われながら監督がこっちに向かって撃ち放つ小さな球を僕は、汗を二の腕の袖で拭いながら取っていた。 僕よりもうんと始めるのが遅かったあいつは 誰が何と言おうとエースでヒーローなのだ。 僕は誰よりも早く朝練に来ていたし、練…

蚊帳の中

僕の家は高台にある。向こうの景色がよく見えるんだ。橙色に染まる町や暗闇に消されまいと光る家庭の明かり達。同じ町だけど、色んな顔を見せる。でも、その町は世間から隔離された世界で人の内面から異臭が漂う町だ。 その、町から毎週火曜になるとぼくの所…

砂漠のランデブー

君が何年も、何十年も幸や不幸を踏みして歩いてきた大木の枝に実った真っ赤な果実がこの、砂漠のオアシスと化する。 夜の砂漠は寒いから僕は月明かりの僅かな光と その周りに散らばる片付けることの出来ない無数の星の中で大木を抱きしめ、温もりを感じる。…

70'S

夜中に部屋のブラウン管に現れる喧しい砂利道。その、砂利道を白昼夢の中で走る。 その砂利道をずっと進んで行くとアストロラマのドームがある。そのアストロラマには僕の記憶が写されていて、僕の記憶にはいつも砂利道よりも喧しい誰かが居座っている。途中…

自分の使い方

カーテンの隙間から朝日が伸びて、私の眉間を刺す。私は身体に鞭を打って明日には明日の風が吹く、そんな誰かの言葉に上手く乗せられて私は今日も、蠢く教室に向かった。 でも、今日には昨日の風が吹いた。そう、私にとっては今日も明日も何一つ変わりは無い…

遠い日になる17時のチャイム

蝉時雨がアスファルトにまだ少し残りながらも、陽が傾きこの小さな町を茜色に照らしだした頃、僕はとっさんとカンタとたいちゃんと いつものように、この町唯一の市民プールの帰り道に入り組んだ住宅街を家路へと向かってペダルを回した。その住宅街からは、…

お天道さま

時々、夜が怖くなる時がある。でも、昼間はもっと怖い。人の目が気になるようになったのは、思春期という漠然でありながら脆弱な時期と何かが衝突した瞬間からだ。 私は、夜が怖けれど部屋にいるともっと怖い。憎悪や嫌悪だけで出来上がった人間もどきのもう…