一人と独りは違う
重たい曇天から、雫が一滴落ちる様はまるで
今朝の私達の不穏な淀んだ空気の部屋のキッチンの水道から水が、落ちる様と重なる。
特に、2人の間に何があった訳でもなく、ただただ2人で揺れる洗濯機を座って眺める。
換気扇の音をBGMにして、軽食を口にし空腹を紛らわす。窓の外に振り続ける雨をひたすらに無言で見つめる。午後3時過ぎに私が温かいコーヒーを入れて、さくらももこの小説を読もうとすると君は、やっとちょっかいをかけてくる。なのに、そのちょっかいもどこか無愛想だ。なのに何故か可愛げもある。
私は雨が上がったのを確認すると、留守番を君に任せて、夕食のナポリタンの食材を近所のスーパーに買いに行った。
家に帰ると、君は不貞腐れた目をしながら玄関で待っていてくれた。それは、私がご機嫌で帰った日も、落ち込んで帰った日も、酔っ払って帰った日も、失恋をして帰った日もいつも玄関で無愛想に待っていてくれる。そして、私はいつも君の喉仏を撫でる。すると、君はいつも目を細めて、ゴロゴロと声を出す。
その、ゴロゴロはいつも私を癒してくれる。