2019-06-09 陰に賛美歌を 言葉の荷物を肩にぶら下げて、酷い肩こりが 慢性的になっていることも忘れて人混みの中を颯爽と歩いてるふりをするのには、もうつかれた。夜中の電柱から伸びる僅かな枝が、電柱の根元に咲く、うす紫の小さな花を照らす。 その花は妖艶でありながら微動だにせず、夜中という静寂を耐え忍ぼうとしている。まるで、帰ってくることのない彼を薄暗い部屋で一人待つあの子のように。そして、昼間の僕の行動範囲の中で浴びせられた罵詈雑言に耐え忍ぶように、その電柱の根元に咲く花は現代社会という 問題の種を持った僕たち人間の花だ。